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名古屋大学 理学部物理学科

LaAl0.99Zn0.01O3-δにおける誘電率の光制御

抵抗率や誘電率の光照射に対する応答の研究は、抵抗器やキャパシタのリモート制御への応用が期待されています。これまでに報告されてきた光照射による誘電率の変化は、電気伝導率の増大を伴っており、光照射によって励起されたキャリアの寄与であると理解されています。しかしこの電気伝導率の増大はキャパシタにとってエネルギー損失を生み出す要因となり、誘電率を増大させる新しい指針が必要です。
今回我々はLaAlO3にZnをわずかにドープした試料に対して、試料のバンドギャップ以下のエネルギーを持つ光を用いて実験を行い、高周波領域で誘電損失の増大を伴わない誘電率の増加を初めて観測しました。この現象はZn置換によって生み出された不純物準位に光励起された電子がトラップされるモデルで定性的に理解できます。この結果は光によるリモート制御可能なキャパシタ開発に向けて重要な指針を与えるものと期待されます。

本研究は、東京理科大学理工学部物理学科の岡崎竜二講師、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻高橋英史助教との共同研究です。

"Optical Control of Dielectric Permittivity in LaAl0.99Zn0.01O3-δ"
by T. Nagai, H. Takahashi, R. Okazaki, K. Tanabe, I. Terasaki, and H. Taniguchi
Applied Physical Letters 110, 172901 (2017).

本研究はAIP PublishingのWebサイトに取り上げられています。
"Light Has New Capacity for Electronics"


(図)LaAl0.99Zn0.01O3-δにおける光照射による誘電率の上昇。